【言葉が出てこない】なぜ起こる?注意が必要なケースとは?
【言葉が出てこない】なぜ起こる?注意が必要なケースとは
会話中に「あれ?あの言葉なんだっけ?」と困った経験はありませんか?緊張や疲れで起こることも多いですが注意が必要なケースもあります。
今回は、「言葉が出ない」症状の原因や、病院に行くべきタイミングなどをわかりやすくお伝えします。
言葉が出てこないとはどういうことか?
「言葉が出てこない」状態には、いくつかの種類があります。医学的にはおおまかに以下のように分類されます。
1. 語想起困難(anomic aphasia)
最も一般的で「名前が出てこない」「物の名前が思い出せない」などが特徴です。「ほら、あの去年の紅白歌合戦のオオトリだった、あの人!」など言葉を迂回して表現しようとします。睡眠不足、ストレス、加齢でも起こりますが脳の言語領域の異常でも生じます。
2. 失語(aphasia)
脳卒中や脳腫瘍、外傷などにより脳の言語中枢が障害されて生じることが多い症状で、言葉の理解や発話そのものが困難になります。失語にはいくつかのタイプがあり、ブローカ失語(非流暢性)、ウェルニッケ失語(流暢だが意味をなさない)などが知られています。
3. 構音障害・発声障害
言葉を思い浮かべることはできるが、発音・発声がうまくできない状態。先に挙げた失語と異なりうまく発音ができないことが特徴です。脳幹梗塞やパーキンソン病など様々な脳の病気でみられることがあります。
■言葉が出てこない理由は?
普段使っている言葉ですが、実は脳の中では複雑なプロセスを経て言葉が生まれています。睡眠不足やストレスなどで脳の調子が落ちると、言葉がうまく出ないことがあります。これは誰でも起こることで、多くは一時的なものです。
実際、健康な若い方でも睡眠不足やストレスがかかると語想起(言葉を思い出す能力)が一時的に低下することが研究でも示されています(Harrison & Horne, 2000; Lupien et al., 2007)。十分な睡眠をとることで言語能力が回復することも報告されています。
しかし、時には病気が関係していることもあります。
① 認知症や軽度認知障害(MCI) 認知症
高齢者だけではなく、若い世代にも「若年性認知症」として起こることがあります。初めは「名前や単語が出てこない」程度ですが、徐々に悪化することもあります。
② 脳卒中(脳梗塞・脳出血)
突然言葉が出なくなる、ろれつが回らない場合、脳卒中の可能性があります。特に手足の麻痺や顔のゆがみがある場合は、すぐ救急車を呼ぶ必要があります。
③ 精神的な問題(うつ病や不安障害)
精神的なストレスやうつ状態が続くと、集中力が落ちて言葉が出にくくなることがあります。これは治療で改善可能です。
■普通の物忘れと病気の違いは?
物忘れは誰にで生じますが以下の症状があれば注意が必要です。
・言葉が出ない頻度が高く生活に影響がある
・周りから言葉の出にくさを指摘される
・短期間で急激に症状が進んでいる
・言葉以外にも麻痺や感覚異常などがある
こうした場合、病院での診察をおすすめします。
■どんな時に病院へ行くべき?
以下の症状が一つでもある場合、早めに脳神経内科や脳神経外科、精神科を受診しましょう。
✔ 突然、言葉が出なくなったり理解できなくなった
✔ 短期間で症状が悪化した
✔ 言葉の症状に加え、手足が動きにくい、顔がゆがむなどがある
✔ 気持ちが不安定で眠れない日が続いている
■病院では何をするの?
病院では次のような検査を行います。
・MRIやCT(脳の検査)
・記憶や言葉の検査
・血液検査(甲状腺やビタミン不足のチェック)
■日常生活でできる予防法
日頃から以下のことを心がけましょう。
・十分な睡眠
・ストレス解消
・適度な運動
・リラックスできる時間を作る
少しでも気になる症状があれば、家族や友人に相談し、必要なら病院へ行きましょう。
■まとめ
「言葉が出ない」は誰にでも起こることですが、脳卒中や認知症などの病気が隠れていることもあります。
「若いから大丈夫」と放置せず、気になることがあれば早めに専門医に相談しましょう。あなたの健康を守る第一歩です。
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(参考文献)
- Harrison, Y., & Horne, J. A. (2000). The impact of sleep deprivation on decision making: A review. Journal of Experimental Psychology: Applied, 6(3), 236–249.
- Lupien, S. J., Maheu, F., Tu, M., Fiocco, A., & Schramek, T. E. (2007). The effects of stress and stress hormones on human cognition: Implications for the field of brain and cognition. Brain and Cognition, 65(3), 209–237.
- 日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2023」
- 日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021」