片頭痛とピル(経口避妊薬):安全に使うために知っておきたいこと
片頭痛とピル(経口避妊薬):安全に使うために知っておきたいこと
【豊中市・庄内】脳神経外科の専門医が解説するピルと脳梗塞のリスク
「片頭痛があるけれど、ピルを飲んでも大丈夫?」 「避妊や生理痛改善のためにピルを検討したいけど、脳梗塞のリスクが心配…」
豊中市や庄内駅周辺にお住まいの女性から当院にこのようなお悩みがよく寄せられます。
インターネットで「片頭痛 ピル 安全性」や「ピル 脳梗塞 豊中市」といったキーワードで検索される方も増えており皆さまの関心の高さがうかがえます。
この記事では、脳神経外科の専門的な立場から、片頭痛とピルの関係、特に脳梗塞のリスクについて、分かりやすく解説します。
この記事のポイント
- 「前兆のある片頭痛」の方は、エストロゲンを含むピルで脳梗塞リスクが高まるため、原則として使用できません。
- 「前兆のない片頭痛」でも、年齢や喫煙歴などによっては慎重な判断が必要です。
- 脳梗塞リスクを上げない黄体ホルモン単剤(ミニピル)や子宮内避妊具(IUD)といった安全な選択肢があります。
- 自己判断は禁物です。婦人科でピルを処方されている方も、一度、頭痛の専門医にご相談ください。
前兆あり片頭痛とピル:脳梗塞リスクが上がる明確な理由
片頭痛の中には、頭痛が始まる前に「前兆」(視覚のギザギザ・光、視野の欠け、半身のしびれ、言葉のもつれなど)を伴うタイプがあります。
この「前兆あり片頭痛」はそれ自体が脳梗塞のリスク因子になり得ます。
そこに、女性ホルモンの一種であるエストロゲンを含む低用量ピルが加わると血液を固まりやすくする作用が加わり、脳梗塞(血管が詰まるタイプの脳卒中である虚血性脳卒中)のリスクがさらに高まることが複数の研究で確認されています。
前兆なし片頭痛とピル:条件付きで使用可能
一方で、前兆を伴わない片頭痛の場合、ピルの使用は「条件付きで可能」とされています。
ただし、以下の条件に当てはまる方は、たとえ前兆がなくても脳梗塞のリスクは上昇するため、より慎重な判断が求められます。
-
35歳以上
-
喫煙習慣がある
-
高血圧、脂質異常症、糖尿病などの持病がある
-
肥満(BMIが高い)
ご自身が安全に使用できるか、必ず医師に確認しましょう。
安全な代替法:黄体ホルモン単剤やIUD
「ピルが使えないなら、どうすればいいの?」とご不安な方もご安心ください。安全性の高い代替法があります。
黄体ホルモン単剤(ミニピル)や子宮内避妊具(IUD)**です。
特に、レボノルゲストレル放出IUD(LNG-IUD、商品名:ミレーナ)は、血栓症のリスクを上げないことが科学的に示されており比較的安全な選択肢です。
避妊効果に加え月経量を減らして貧血や月経痛を改善する効果も期待できるため、片頭痛を持つ女性にとって大きなメリットがあります。
「月経関連片頭痛」とピルの上手な付き合い方
「生理の前や生理中に、決まって片頭痛が悪化する」という方は「月経関連片頭痛」の可能性があります。
このタイプの頭痛には、ピルの飲み方を工夫することで発作を減らせる場合があります。
-
24日服用+4日休薬(従来の21日服用+7日休薬より、ホルモンの変動が緩やかになります)
-
連続服用(休薬期間をなくし、ホルモンの変動自体をなくす方法)
こうした服用スケジュールの調整は、頭痛発作の予防に有効なことがあります。
ただし、繰り返しになりますが「前兆あり片頭痛」の方にはピルは原則として不適応です。必ず専門医と相談の上で行いましょう。
もう少し詳しく知りたい方へ(専門的解説)
-
リスクの実数: 20〜44歳女性の年間脳梗塞発症率は、片頭痛なし・ピルなしで約2.5人/10万人に対し、前兆あり片頭痛+ピル併用では約36.9人/10万人と報告されています。リスクが10倍以上に跳ね上がることが分かります。
-
用量依存性: エストロゲン含有量が少ない20µg製剤の方が、30〜40µg製剤より安全性が高いとされています。
-
国際的な指針: 欧州頭痛学会・避妊学会の合同声明では「前兆あり片頭痛を持つ女性へのエストロゲン含有ピルは禁忌(使用してはならない)」と明確に定めています。
-
代替法のエビデンス: LNG-IUD(ミレーナ)は、脳梗塞リスクを上昇させないだけでなく、むしろ低下させる可能性を示唆するデータも出てきています。
豊中市・庄内で片頭痛のご相談は、もといえ脳神経クリニックへ
片頭痛とピルの問題は、ご自身の判断で進めるにはあまりにもリスクが伴います。
現在、婦人科や産婦人科でピルを処方されている方も頭痛にお悩みであれば一度ご相談ください。
当院は豊中市 庄内駅前に位置する当院ではお一人おひとりの片頭痛のタイプやリスク因子を正確に診断します。
その上で婦人科への橋渡しなど頭痛以外についてもご提案いたします。
👉 「片頭痛 ピル 安全性」「片頭痛 脳梗塞 豊中市」などで検索してこのページをご覧になった方は、ぜひ一度、当院までお問い合わせください。
ウェブサイトから簡単にご予約いただけます。
参考文献
-
Use of combined hormonal contraceptives among women with migraines and risk of ischemic stroke. Am J Obstet Gynecol. 2017. PMID: 28034652
-
Hormonal contraceptives and risk of ischemic stroke in women with migraine: a consensus statement. J Headache Pain. 2017. PMID: 29086160
-
Thrombotic stroke and myocardial infarction with hormonal contraception. N Engl J Med. 2012. PMID: 22693997
-
Low dose oestrogen combined oral contraception and risk of pulmonary embolism, stroke, and myocardial infarction. BMJ. 2016. PMID: 27164970
-
Combined oral contraceptives: the risk of myocardial infarction and ischemic stroke. Cochrane Database Syst Rev. 2015. PMID: 26310586
-
Combined oral contraceptives in women with menstrual migraine without aura. Fertil Steril. 2011. PMID: 21843889
-
Risk of Stroke in Women Using Levonorgestrel-Releasing Intrauterine Device. Stroke. 2024. PMID: 38753961
-
Stroke and myocardial infarction with contemporary hormonal contraception. BMJ. 2025. PMID: 39938934
ご来院の際は、事前にご予約いただけますとよりスムーズにご案内できます。
※当日の混雑状況により、待ち時間が長くなる場合がございます。
ご来院前に一度お電話、またはWebからご予約をいただけますと、よりスムーズにご案内できる場合がございます。
お気軽にお問い合わせください。
📍 住所
〒561-0832 大阪府豊中市庄内西町2-22-3 水谷ビル1階
📞 電話番号
06-6676-7358
🕒 診療時間
午前診 08:40 ~ 12:00
午後診 14:40 ~ 18:00
※水曜・土曜午後、日曜・祝日は休診