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コラム

難聴を放置すると認知症に?補聴器の大切さを脳神経外科医が解説|豊中市 庄内

 

難聴だと認知症リスクになりやすい⁉

軽い難聴で1.2倍、重い難聴だと5倍

聞こえの悪さ(難聴)を放置すると、認知症になるリスクが高まることが様々な研究から明らかになってきました。

研究によると、軽い難聴でも認知症のリスクは約1.2倍、重い難聴では最大5倍に上昇するそうです。
補聴器を使うことで、このリスクを減らせる可能性が指摘されていますので認知症予防には早めのケアが大切です。

 


「難聴」は予防可能な認知症リスク

最近の研究で、聞こえにくさ(難聴)と認知症の関係が明らかになってきました。特に、難聴を放置していると、認知症になるリスクが高まることが報告されています。認知症はまだ治療が難しい病気ですが、「難聴」は予防可能な認知症リスクとして最も注目されています。

 

難聴はなぜ認知症のリスクを高める?

アメリカの研究(JAMA Neurology, 2011)では、難聴の程度に応じて認知症の発症リスクが上がることを明らかにしました。
軽度の難聴(人の声が少し聞きづらい程度)で認知症リスクは約1.2倍、中等度から重度の難聴(大声でも聞こえづらいレベル)では、認知症になるリスクが最大5倍にもなると報告されています。

難聴が認知症リスクを高める理由として考えられているのは、

  • 脳に負担がかかり、認知機能が低下する

  • 聞こえづらいことで人との交流が減り、孤立やうつ症状が起きる

  • 耳からの情報が減り、脳が刺激を受けなくなる

などの原因が考えられています(Chenら, 2023)。

 

難聴はどれくらい影響する?

世界的に有名な医学誌「ランセット」(Lancet, 2020)の大規模な調査によれば認知症になる人の約40%が予防可能な原因で発症しており、その中でも特に難聴は重要な原因の一つとされています。中年期(40〜65歳)に難聴を放置すると、老年期の認知症リスクが上がるため、できるだけ早い時期からのケアが推奨されています。

また、ヨーロッパの研究(Tandfonline, 2020)でも、難聴を放置することで将来的な認知症リスクが高まることが示されています。
中年期からの難聴ケアで、最大9%もの認知症を予防できる可能性があります。

 

難聴への効果的な対策は?

難聴への効果的な対策として、最も注目されているのが「補聴器」

日本の55歳以上を対象にした最新の研究(Nature Aging, 2025)によると難聴で補聴器を使わなかった人は、認知機能の処理速度が低下することがわかりました。
一方で、長期間補聴器を使った人は、このような認知機能の低下が防げるという結果が出ています。

つまり、補聴器の使用は脳が正常に情報を処理し続ける助けとなり、認知症の予防に有効だということが示されました。

また別の研究(Chenら, 2023)でも、難聴の人が感じる孤立感や不安、うつなどが、認知機能の低下を加速させることが報告されています。
補聴器は、人とのコミュニケーションを助けることで、こうした孤立感や精神的なストレスを軽減し、認知症予防に貢献すると考えられています。

 

どんなタイミングで難聴ケアを始めるべき?

難聴は年齢とともに進行するため、「まだ大丈夫」と思っていても、放置すると気づかぬ間に認知機能に悪影響を及ぼします。
特に40代から50代の早い段階で聴力が低下した場合、放置すれば認知症のリスクを上げることが研究で示されています。

世界的な認知症予防ガイドラインでも、中年期(40~65歳)から定期的な聴力検査を行い、軽い難聴の段階から積極的に補聴器を使うことが推奨されています(Lancet, 2020)。

 

まとめ

現在、多くの研究が「難聴が認知症の大きなリスク要因であり、補聴器などのケアが非常に有効である」と結論付けています。
健康的な生活を送り、認知症のリスクを下げるためにも、早めの聴力検査と補聴器によるケアをお勧めします。

 

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